マネジメントを製造ラインと捉えて課題を解く

仕事

どうも、ものレボCOOの松下です。

今回は、この春からものレボのセールス部門およびカスタマーサクセス部門で暫定的にマネージャーを務めさせていただき自分が考えていたことを備忘録としてまとめてみました。
ちなみにマネージャー業務に関する私のバックグラウンドは0です。メンバーの管理という広義な意味では後輩をもったことや、お客様先のプロジェクト管理の実績がある程度です。

そんな私が二つの部門のマネジメントをどのように捉えチャレンジしたかを記述していきます。

■マネジメントという仕事の捉え方

私は元アイシン精機の生産技術マンです。
なにが言いたいのかというと、生産・品質管理を担保する製造ラインを構築し、更なる生産性向上のための改善活動の経験があるということです。
つまり、ものの製造とその製造を管理するしくみを構築し、しくみの改善をするという有機物でなく無機物のマネージャーという仕事は多くの経験があるということです。

この経験を動員して、セールス部門とカスタマーサクセス部門を人が所属する群としてみるのではなく、お客様へ価値を提供するための”バリューを製造する製造ライン”と捉えました。

セールス部門とカスタマーサクセス部門を各工程に分解し(ザ・モデルの一つのファンクションを一工程の単位とする)、各工程でつくり込むべきものと後工程へ引継ぐもの(数値)を定義しそれらを可視化する。さらに結果系である品質(結果の数値)を可視化。可視化のあとは、数値と仮説による検証と改善をひたすら実行するのみ。

個人的には捉え方を経験則に置き換えてからは比較的スムーズに推進できてたように思います。

■理念とMVVと私

上述のようにセールス部門とカスタマーサクセス部門のマネジメントはバリューを製造する製造ラインと捉えることでしくみ化を推進していったのですが、
推進の中で迷うこともあります。
迷った際の意思決定時に必ず立ち返るものを用意していました。

具体的には以下3点です。
1.理念
2.MVV(Mission Vision Value)
3.日報作成と振り返り(自戒)

使い方としては0→1に近い意思決定は、1.理念を使って、1→10に近い意思決定は2.MVVを使い、それらが正しく使えていたかを
3.日報作成と振り返りと称した日報で振り返るって流れでした。これはリーダーとして、至極当たり前のアプローチではあると思います。

ですが、これらを常日頃忘れずに実行するには結構な訓練が必要でした。
1だけやる、2だけやるというのは継続可能だと思いますが、3の振り返りまでセットで継続するのに結構体力がいりました。

■標準としくみと改善

このあとも、生産・品質管理を設備を織りなす製造ラインを構築する際に必要な各工程の標準作業のように業務標準を記載したドキュメントとしくみを作成しました。
ここからは製造ラインを構築したことがなくとも世のマネジメント経験者からすると当たり前の準備と思います。

が、一点だけ製造ラインを作っていた、もっというと製造のための工法開発をしていた身からすると”改善”に直接的につなげるために標準としくみは不可欠なのです。

理由は問題が発生した際に、原因箇所を早期に特定するためのものさしの位置づけを担うのはもちろんなのですが、
一番重要なのは問題が発生した際に人を憎まずしくみを憎むというマインドを醸成できることと考えています。

セールス部門およびカスタマーサクセス部門は製造ラインではないです。人が有機的にバリューを作り込んでいくのです。
弱いチームは問題が発生すると人を憎んで終わっていて、改善の入り口に立つことはありません。

強いチームは改善が回っていて、もっというと改善が自律で回るチームです。そしてそれを成立させるのが標準としくみだと私は考えています。

余白と曖昧さ

ここまでどういう捉え方でなにを準備し、どのようなマインドを醸成することでマネジメントを推進するかを記述してきました。

これらをすべて完璧に作り切るのは、特にスタートアップにおいては不可能ですし、もっというと目指すべきでもないと考えています。
(成熟期のスタートアップであれば目指すのかもしれませんが、それではスタートアップではなくなっているように思います。)

ではどうするのか?
これが私自身実行するのに苦労したのですが、業務に余白を残し結果の曖昧さを許容するという二点を実行することでした。

この二点は一見、業務の標準やしくみとは反していると見えるかもしれません。業務標準やしくみがあるにもかかわらず業務に余白を残す?結果の曖昧さを許容する?よくわからないですよね。

これらが実行できたのは、理念とMVVに日々立ち返る日報での振り返りが支えたと考えています。

ではなぜ重要なのか?
これらがないと改善を超えた改革や技術開発は促進されず、誰も解決できない、もっというと誰も解決しようともしない社会課題を解決するスタートアップとしての存在価値が低下すると考えているからです。この観点も加えて実行の継続を踏ん張ってます、今も。

さいごに

今回はじめてがっつり向き合ったマネジメントという仕事ですが、事業フェーズや組織規模によってマネジメントの方針はあるが答えはないんだろうなと思いました。ちなみに製造ラインもこうすればいいという答えがなく、工場による方針だけがあります。
(工場の方針は製造、保全、品質管理、生産技術、原価管理、日程管理といった複数の部門で作られます。)

余白と曖昧さを前提にマネジメントというWhatにとらわれず、なんのためにマネジメントをするのか、そして何を成すのためにマネジメントなのかを大切にしていきたいです。

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Posted by MatsushitaTakahiro